「高地トレーニング」
世界中のトップアスリートによって盛んに行われていますね。
日本で有名になったのはマラソン選手が実施しているというからスタートされていたような認識がありましたが、最近では競泳選手がオリンピックの前に行っていたり、サッカーのW杯前に合宿などで《高地トレーニング》を行っていたりニュースをよく目にしました。
そんな高地トレーニングについてどのような環境でトレーニングを行い、どんな結果が期待できるのか興味がある人も多いと思います。
今回は高地トレーニングの歴史、メリットやデメリットやその効果などご紹介します。
高地トレーニングの歴史は1968年メキシコオリンピックから!?
この高地トレーニングの歴史は1968年までさかのぼるのですが、標高2240mで行われたメキシコシティーでのメキシコオリンピックから注目されていたそうです。
その前の東京オリンピック(1964年)に比べると普通は、競技記録が上がっているのが普通ですがメキシコオリンピックではほとんどの長距離種目で記録が格段に下がったそうです。
そんな特殊な条件下ですごく目立った選手というのが高地に生まれて、普段から高地に住み、高地でトレーニングをしている、ケニアをはじめとした東アフリカの選手だったそうです。
これを機に高地でのトレーニングがすごいと認識され、アスリート達が積極的に取り入れ実施され始めたそうなんです。
高地トレーニングとは?
高地トレーニングとは、人間の環境への適応能力を活かし、運動能力向上につなげるトレーニング方法です。高地とは、低圧、低酸素、低温の環境のことをいうそうなんですが、効果的な標高は1500~3000mとされています。
高地トレーニングの考えは、単純明解です。
地球上はどこでも酸素は21%ですよね。
しかし、標高が高くなると気圧が低くなってきます。
活用できる酸素の量は、標高が高くなるにつれて、人体に与える酸素の量が低くなっていき低酸素症になります。
その低酸素症により赤血球を製造するためのホルモンが分泌され、より多くの赤血球が血中に作られます。
これにより、赤血球は心臓から筋肉まで酸素を運んでくれる物質なので、赤血球が多ければ多いほど酸素が多く運ばれる状態を作り出せるということなのです。
おそらく、これを読んでいる方であれば酸素の重要性は理解していると思うので割愛させていただきます。
変な話になってしまいますが、通常であれば違法であるドーピングと同じような変化が自然に、そして、合法的に起こっているということですね。
高地トレーニングのメリット・デメリット
これだけ注目されて尚且つ、実施されている高地トレーニングですが、メリット、デメリットが気になりますよね。
高地トレーニングのメリットは酸素運搬、酸素を取り込む力(最大酸素摂取量)がアップしパワーの消費力がアップすることです。
高地でのトレーニング中、酸素を十分に行き渡らせるため、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンと、筋肉中に酸素を運ぶミオグロビンが増加します。
そして、高地トレーニングから平地に戻ると、以前よりも酸素の運搬能力や筋肉での酸素消費能力がアップしているので、パフォーマンスの向上がみられるとのこと。
また、最大酸素摂取量が上がることで、持久力アップ期待できますね。
また筋肉への酸素供給が十分に行われるため、全身持久力と共に筋持久力も向上する効果が期待できます。
これだけアスリート達が行ってきた高地トレーニングですが、逆にメリットしかないんではないかと思えてしまいましたが調べていくうちに、じつは、デメリットも見つかってきました。
高地トレーニングのデメリットは以下のとおり。
・疲労回復に時間がかかる
・体調の変化や睡眠に影響が出る可能性がある
・追い込めない
特に高地に順応しきれていない期間は、疲労回復や体調を管理するのが大変なのでそこがデメリットになります。
平地でこなせていたメニューがこなせなくなるなど、酸素の薄さに影響される部分が多数出てきます。
また、追い込みができなく、最大運動能力が発揮できないとの報告もあります。というのは、低酸素のために自分お最大限の力を発揮できない=追い込んでも記録が伸びないとのことだそうです。
大事なレースの直前に高強度で追い込むトレーニングができない環境で記録が伸びないこともある。これは、非常に考えなくてはいけないところかなと思います。
筋肉への血流が十分ではないために引き起こされる影響も多数ありますので、トレーニング強度には十分注意してその状況や日程の調整などしっかりとメニューを考えていきましょう。
今回は以上になりますが、絶対に完璧な物ではないということがわかったかと思います。
高地トレーニングにもメリット、デメリットがあり、しっかりと指導者も選手の体調管理や体力向上、競技力向上、メンタル的、全てをしっかりと理解して選ばなくてはいけないと考えます。
少しでも指導者や選手達、競技に関わる方々が考えて実施するのかしないのかを決定されることを願います。
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